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人材派遣について

Q1 : 派遣はどんな仕事でもできますか?

1985年に派遣法が制定された当初は、労働者派遣の対象業務は専門的な知識や通常とは異なる雇用管理が必要である13業務に限定されていましたが、その後26業務に拡大され、1999年には対象業務が原則自由化され、2003年には物の製造業務も派遣の対象となりました。
但し、労働者派遣法で以下の業務に派遣することは禁止されています。あくまで“業務”なので、同じ職種でも業務によって派遣ができる場合と、できない場合があることに注意が必要です。
1.港湾運送業務
港湾運送業務とは、港での貨物の積み込みや荷下ろし、荷さばきなどの運送・輸送に関わる業務です。

2.建設業務
建築現場で建設作業や修理、解体などの作業を行う建設業務には、労働者派遣をすることができません。
また、林業の業務の一部(林地の地盤整理など)も建設業務として解釈されています。

3.警備業務

4.病院などにおける医療関係の業務
但し、直接雇用を予定して派遣を行う紹介予定派遣の場合は認められています。
また、看護補助や介護は医療関係の業務と定められていないため、派遣が可能となっています。
このほか、次の業務についても、許可基準や取扱いで労働者派遣事業を行うことができません。
1.人事労務管理関係のうち、派遣先において団体交渉または労働基準法に規定する協定の締結のための労使協定の際に、使用者側の直接当事者として行う業務。

2.弁護士、司法書士、公認会計士等の士業。
これらの業務は、依頼者からの委託を受けて業務を行うもので、労働者として監督指揮されるものではありません。
そのため、労働者派遣の対象から除外されています。

3.建築士事務所の管理建築士。
管理建築士は、登録した建築士事務所の専任でなければならないため、派遣元と雇用関係にある派遣労働者が就くことはできません。

Q2 : 労働者派遣の期間は決まっていますか?

業務によっては派遣先の派遣受入期間に制限があります。
派遣先事業所単位派遣労働者個人単位 の2つの期間制限があります。
派遣会社は、派遣先の派遣受入期間の制限に抵触しない範囲内で派遣期間を定め、派遣契約を締結します。
派遣受入期間の制限がある業務について派遣契約を締結する場合には、派遣先から派遣元事業主に対し、当該派遣先の派遣受入期間の制限への抵触日を通知しなければなりません。
派遣先事業所単位の期間制限
派遣先の同一の事業所に対し派遣できる期間(派遣可能期間)は、原則、3年が限度となります。
派遣先が3年を超えて派遣を受け入れようとする場合は、派遣先の事業所の過半数労働組合等からの意見を聴く必要があります。
施行日以後、最初に新たな期間制限の対象となる労働者派遣を行った日が、3年の派遣可能期間の起算日となります。
それ以降、3年までの間に派遣労働者が交替したり、他の労働者派遣契約に基づく労働者派遣を始めた場合でも、派遣可能期間の起算日は変わりません。(したがって、派遣可能期間の途中から開始した労働者派遣の期間は、原則、その派遣可能期間の終了までとなります。)
※派遣可能期間を延長した場合でも、個人単位の期間制限を超えて、同一の有期雇用の派遣労働者を引き続き同一の組織単位に派遣することはできません。
派遣労働者個人単位の期間制限
同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位に対し派遣できる期間は、3年が限度となります。

※組織単位を変えれば、同一の事業所に、引き続き同一の派遣労働者を(3年を限度として)派遣することができますが、事業所単位の期間制限による派遣可能期間が延長されていることが前提となります。(この場合でも、派遣先は同一の派遣労働者を指名するなどの特定目的行為を行わないようにする必要があります。)
※派遣労働者の従事する業務が変わっても、同一の組織単位内である場合は、派遣期間は通算されます。

「事業所」、「組織単位」の定義
事業所
・工場、事務所、店舗等、場所的に独立していること
・経営の単位として人事・経理・指導監督・働き方などがある程度独立していること
・施設として一定期間継続するものであることなどの観点から、実態に即して判断されます。
※雇用保険の適用事業所に関する考え方と基本的には同一です。
組織単位
いわゆる「課」や「グループ」など、
・業務としての類似性、関連性があり、
・組織の長が業務配分、労務管理上の指揮監督権限を有するものとして、実態に即して判断されます。
期間制限の例外
※次に掲げる場合は、例外として、期間制限がかかりません。
・ 派遣元事業主に無期雇用される派遣労働者を派遣する場合
・ 60 歳以上の派遣労働者を派遣する場合
・ 終期が明確な有期プロジェクト業務に派遣労働者を派遣する場合
・ 日数限定業務(1か月の勤務日数が通常の労働者の半分以下かつ10 日以下であるもの)に派遣労働者を派遣する場合
・ 産前産後休業、育児休業、介護休業等を取得する労働者の業務に派遣労働者を派遣する場合
いわゆる「クーリング期間」について
事業所単位の期間制限、個人単位の期間制限の両方に、いわゆる「クーリング期間」の考え方が設けられます。
・ 派遣元事業主に無期雇用される派遣労働者を派遣する場合
・ 60 歳以上の派遣労働者を派遣する場合
・ 終期が明確な有期プロジェクト業務に派遣労働者を派遣する場合
・ 日数限定業務(1か月の勤務日数が通常の労働者の半分以下かつ10 日以下であるもの)に派遣労働者を派遣する場合
・ 産前産後休業、育児休業、介護休業等を取得する労働者の業務に派遣労働者を派遣する場合
事業所単位の期間制限
派遣先の事業所ごとの業務について、労働者派遣の終了後に再び派遣する場合、派遣終了と次の派遣開始の間の期間が3か月を超えないときは、労働者派遣は継続しているものとみなされます。
個人単位の期間制限
派遣先の事業所における同一の組織単位ごとの業務について、労働者派遣の終了後に同一の派遣労働者を再び派遣する場合、派遣終了と次の派遣開始の間の期間が3か月を超えないときは、労働者派遣は継続しているものとみなされます。

「令第4条の業務」(日雇派遣の原則禁止の例外として認められている業務)

日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないとして、日雇派遣の禁止の例外として認められている令第4条で定める業務(令第4条第1項各号の業務(17.5業務))は、次のとおりです。

日雇派遣の原則禁止の例外として認められる業務
(政令第4条第1項の業務は次の1~18号業務)

新号数
業務
1号
情報処理システム開発
2号
機械設計
3号
事務用機器操作
4号
通訳・翻訳・速記
5号
秘書
6号
ファイリング
7号
調査
8号
財務処理
9号
貿易(取引文書作成)
10号
デモンストレーション
11号
添乗
12号
受付・案内
13号
研究開発
14号
事業の実施体制の企画、立案
15号
書籍等の制作・編集
16号
広告デザイン
17号
OAインストラクション
18号
セールスエンジニアの営業、金融商品の営業

紹介予定派遣について

Q3 : 紹介予定派遣とはどういうものですか?

求職者が派遣先企業に入社することを前提に、6カ月以内の期間を派遣社員として派遣先企業で勤務する形態の労働者派遣です。

Q4 : 紹介予定派遣と一般の労働者派遣との違いは何ですか?

紹介予定派遣の場合
正社員として働きたい人と、こんな人に社員として働いて欲しいと願う企業が面接を行い、最長6ヶ月の期間、派遣社員として就労します。その6ヶ月の期間の内に、両者の合意で直接雇用を決めます。
※紹介予定派遣では、必ずしも正社員で就労するとは限りません。契約社員やアルバイトでも良いことになっています。また、派遣業務において適用除外とされている医療関連業務についても対象とすることができます。
一般の労働派遣の場合
ライフスタイルに合わせ、勤務する場所や時間、働く期間など、あなたに合ったお仕事を選択しやすくなります。
アクティーと雇用契約を結んだ上で、派遣スタッフとして別の企業でお仕事をしていただきます。
お給料の支払いや社会保険の加入などの福利厚生は、アクティーが行います。

Q5 : 紹介予定派遣では、事前面接や履歴書選考もできますか?

紹介予定派遣に限り以下の内容が可能になります。

1.事前面接・履歴書送付
2.派遣開始前及び派遣期間中の求人条件の明示
3.派遣期間中の採用意思確認・採用内定

※紹介予定派遣以外では、派遣スタッフの特定行為は出来ません。

Q6 : 紹介予定派遣をして採用に至らなかった場合は問題がありますか?

紹介予定派遣の場合、派遣先及び派遣スタッフが就職及び採用につき、合意ができなくとも何も問題となることはありません。但し、派遣先での直接雇用に至らなかった場合、求職者の求めに応じて派遣先に理由を確認し、求職者に明示することが必要です。

Q7 : 通常の派遣就業中に紹介予定派遣契約に切替えることはできますか?

所定の手続きにより可能です。
なお、派遣元、派遣先、派遣労働者の3者の合意が必要となります。

物の製造について

Q8 : 「物の製造」にあたるのはどの範囲ですか?

物の製造の業務とは、「物を直接溶融、鋳造、加工し、組み立て、塗装する業務、製造用機械の操作の業務及びこれらと密接不可分の付随業務として複数の加工、組み立て業務を結ぶ場合の運搬、選別、洗浄等の業務」をいいます。

Q9 : 「物の製造」業務で派遣を利用する場合、専門的に担当する派遣責任者の選任が必要ですか?

「物の製造」業務で派遣を利用する場合、労働者派遣された派遣労働者に関する就業の管理を一元的に行う派遣先責任者(製造業務専門派遣責任者という)を選任しなければなりません。
選任すべき人数は「製造業務に50人を超える派遣労働者を従事させる事務所等にあっては、当該事務所等の派遣労働者の数が50人を超え100人以下のときは1人以上の者を、100人を超え200人以下のときは2人以上の者を、200人を超えるときは、当該派遣労働者の数が100人を超えるごとに1人を加えた数以上」とされています。
そこで、物の製造業務に従事させる派遣労働者の数が50人以下の事業所については、製造業務専門派遣先責任者を別に選任する必要はありません。

労働者派遣法の請負について

Q10 : 労働者派遣法(労働省告示第37号)でいう請負とはどういうものですか?

労働者派遣法(労働省告示第37号)でいう請負とは「事業としての独立性」を中心にして、これを
  1.労務管理上の観点から
  2.事業経営上の観点から
独立性の判断基準を定め、民法でいう「仕事の完成」を目的とするか否かに重点を置いていない。
従って派遣法上では *1 「民法第632条」の請負のほか *2 「民法第656条」の準委任についても「請負事業等」に含まれるものと考えられている。

*1・・・民法第632条
「請負ハ当事者ノ一方カ仕事ヲ完成スルコトヲ約シ、相手方カ其仕事ノ結果ニ対シテ之ニ報酬ヲ与ヘルニ因リテ其効力ヲ生ス」
  =「仕事の完成」に契約の中心がある
*2・・・民法第656条(=委任「民法第643条」)
「準委任ハ当事者ノ一方カ法律行為ニ非サル事務ヲ為スコトヲ相手方ニ委託シ相手方之ヲ承諾スルニ因リテ其効力ヲ生ス」

業務の処理を相手方より受託し、自己のある程度の自由裁量をもって自己責任で処理をする。

適正な請負より行われている事業である限りは、その事業そのものは「職業安定法」及び「労働派遣法」に特に抵触するものではない。
 
【労働派遣事業と請負事業との区分基準】(労働省告示37号)
 労働派遣事業に該当するか否か、の判断を的確に行うもので
  *1.労務管理上の独立
  *2.事業経営上の独立
 の2要素を満たしておれば「請負」となるが、満たしていなければ「派遣」となる。
 
[1] 労務管理上の独立→自己の雇用する労働者の労務を直接利用すること。
  (1) 業務管理上の独立・・・
    1.業務の遂行方法の指示等を自ら行う。
    2.業務遂行の評価等を自ら行う。
  (2) 労働時間管理上の独立・・・
    1.勤務時間・休日等の指示・管理を自ら行う。
    2.時間外・休日労働の命令・管理を自ら行う。
  (3) 秩序の維持・確保人事管理上の独立・・・
    1.服務規律の設定・指示・管理を自ら行う。
    2.労働者の配置等の決定・変更を自ら行う。
 
[2] 事業経営上の独立→自己の責任により、資金の調達・支弁を行うこと。
  (1) 経営上の独立・・・
    1.自己の責任により、資金の調達・支弁をする。
  (2) 法律上の独立・・・
    1.民法・商法その他の法律上の事業主責任を遂行する。
  (3) 業務上の独立・・・
    1.機械・設備・器材等を自己で調達する。
    2.企業または専門的な技術や経験に基づいて、業務を自己で独立して遂行する。
   (1、2のいずれか)

その他

Q11 : 当方は地方公共団体ですが、派遣を受け入れることはできますか?

地方自治体が派遣先になる労働者派遣についても労働者派遣法が適用されます。
ただし、労働者派遣により委託することのできない行政事務があるので注意が必要です。

Q12 : 医療業務へ派遣できるのはどのような場合ですか?

以下の場合においては労働者派遣が可能です。

1.社会福祉施設等である場合
2.紹介予定派遣の場合
3.医療関係業務に従事する産前産後休業、育児休業、介護休養中の労働者の業務の場合
4.へき地において行われる医業の場合


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